「咳がなかなか治らない」「呼吸が苦しい」「痰がからむ」――
これらの症状を「風邪のせいだろう」と放置していませんか?
実は、長引く咳や息苦しさは、風邪ではなく呼吸器の病気が原因になっていることが多くあります。
この記事では、呼吸器内科で診る主な病気や症状、検査・治療方法、受診の目安をわかりやすく解説します。
目次
1. 呼吸器内科とは?どんな症状を診るの?
呼吸器内科は、肺や気管支、鼻・のどなどの呼吸に関わる臓器の疾患を専門とする診療科です。
■ こんな症状があるときに受診を検討
- 咳が3週間以上続いている
- 息切れしやすい
- 痰がよく出る・色が濃い
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー音)
- 胸の痛みや圧迫感
- 呼吸をすると痛い・息苦しい
「ただの風邪」と見過ごされがちな症状が、実は重大な呼吸器疾患のサインということも少なくありません。
2. 症状別に見る代表的な呼吸器疾患
【症状①】咳が長く続く
考えられる病気:
- 咳喘息:喘息に似た状態で、空咳だけが続く
- 気管支喘息:アレルギーが関与、夜間や運動後に咳やゼーゼー音
- 後鼻漏(こうびろう):鼻水が喉に垂れることで咳が出る
- 慢性気管支炎:喫煙歴がある人に多く、痰の絡む咳が続く
- 肺結核・非結核性抗酸菌症:咳や痰が長引く感染症
【症状②】呼吸が苦しい・息切れする
考えられる病気:
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):長期喫煙者に多い。肺が壊れて呼吸困難に
- 肺気腫:肺胞が壊れて酸素を取り込めなくなる
- 間質性肺炎:肺の組織が硬くなり、息がしづらくなる
- 心不全:呼吸器の病気と間違えやすいが、循環器の病気が原因の場合も
【症状③】発熱・胸痛・咳・痰がある
考えられる病気:
- 肺炎:細菌やウイルスによる肺の感染。重症化に注意
- 気管支炎:風邪と似ているが、咳や痰が悪化しやすい
- COVID-19・インフルエンザ:ウイルス感染による呼吸器症状
3. 呼吸器内科で行われる検査
症状に応じて以下のような検査が行われます。
検査名 | 内容 |
---|---|
胸部レントゲン | 肺炎・肺がん・気胸などの有無を確認 |
呼吸機能検査(スパイロメトリー) | 肺活量・気流制限の評価(喘息・COPDなど) |
血液検査 | 炎症反応・アレルギー体質の確認 |
CT検査 | 肺の構造をより詳細に確認(腫瘍・間質性肺炎など) |
喀痰検査 | 細菌・結核菌などの有無を調べる |
4. 呼吸器疾患の治療方法
治療は病気の種類や重症度に応じて、以下のような方法が選択されます。
■ 薬物療法
- 吸入ステロイド(喘息・COPD)
- 抗生物質(細菌性肺炎・気管支炎)
- 気管支拡張薬(喘息・COPD)
- 抗アレルギー薬(後鼻漏・アレルギー性鼻炎)
■ 吸入器の使用
気道に直接薬を届けるため、副作用が少なく、喘息やCOPD治療の基本となります。
■ 呼吸リハビリテーション
息切れを改善するための呼吸トレーニング・運動療法も取り入れられます。
5. 受診のタイミングと注意すべきサイン
以下のような場合は、早めの呼吸器内科受診をおすすめします。
- 咳が2~3週間以上続く
- 夜中や明け方に咳で目が覚める
- 運動時に息切れが出る
- 痰に血が混じる
- 発熱を伴う強い咳や胸の痛み
特に喫煙歴がある方や高齢者は、早めの受診が重症化予防につながります。
6. 呼吸器内科を受診する際の準備
- 咳がいつから・どのようなときに出るか記録
- 痰の色や量、発熱の有無を伝える
- 過去の呼吸器疾患の有無(喘息・肺炎など)
- 喫煙歴(年数・本数)
- 服用中の薬や吸入器の情報
まとめ:長引く咳には“専門的な視点”が必要
咳や呼吸の違和感は「自然に治るだろう」と思いがちですが、それが重篤な呼吸器疾患の始まりだったというケースも多くあります。
呼吸器内科では、咳の種類や持続期間、呼吸音、胸部画像などから総合的に判断して、適切な治療につなげることが可能です。
- 咳が3週間以上続いている
- 息切れや胸の不快感がある
- 咳止めが効かない
そんなときは、我慢せずに一度専門医に相談してみましょう。