「胃が痛い」「下痢が続く」「お腹が張って苦しい」――こうした症状に悩んでいても、「とりあえず様子を見よう」と我慢してしまう人は少なくありません。
しかし、こうした症状は消化器系の病気のサインかもしれません。
消化器内科は、食道・胃・腸・肝臓・膵臓・胆のうなどの臓器に関する診療を行う専門科です。
この記事では、よくある症状から想定される病気、検査・治療内容、受診の目安までをわかりやすく解説します。
目次
1. 消化器内科とは?どんなときに受診するの?
消化器内科は、以下のような症状があるときに相談する診療科です。
■ 主な症状
- 胃痛・みぞおちの痛み
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振
- お腹の張り(腹部膨満感)
- 下痢・便秘・血便
- 胸やけ・ゲップ
- 体重減少・だるさ
こうした症状は、風邪と見分けがつきにくいこともありますが、長引いたり繰り返したりする場合は要注意です。
2. よくある症状と考えられる病気
【症状①】胃が痛い・むかむかする
考えられる病気:
- 急性胃炎・慢性胃炎
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- ピロリ菌感染
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)
胃痛や胃もたれが続く場合は、**胃カメラ(上部内視鏡)**での検査が推奨されます。
【症状②】下痢が続く・お腹がゆるい
考えられる病気:
- 感染性腸炎(細菌・ウイルス)
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 潰瘍性大腸炎・クローン病
- 大腸がん
- 薬剤性の副作用
水分補給で様子を見るだけでなく、便の状態・発熱・血便の有無などを観察し、必要であれば大腸内視鏡検査も視野に入れましょう。
【症状③】便秘がひどい・お腹が張る
考えられる病気:
- 機能性便秘(ストレスや生活習慣による)
- 過敏性腸症候群(便秘型)
- 大腸がん
- 甲状腺機能低下症
- 腸閉塞(急激な張りや吐き気)
便秘は単なる生活習慣の問題と思われがちですが、重大な病気の初期症状のこともあるため、長期化している場合は医師に相談しましょう。
3. 消化器内科で行われる検査
症状や経過に応じて、以下のような検査が行われます。
検査 | 説明 |
---|---|
胃カメラ(上部内視鏡) | 食道〜胃〜十二指腸までを直接観察 |
大腸カメラ(下部内視鏡) | 大腸全体を観察し、ポリープがあれば同時に切除可能 |
腹部超音波検査 | 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓の状態をチェック |
血液検査 | 肝機能・膵酵素・炎症反応などを測定 |
便潜血検査 | 便に血液が混じっていないかを調べる |
ピロリ菌検査 | 胃の不調や胃がんリスクの評価に重要 |
4. 治療法の選択肢
症状や疾患によって治療は大きく異なりますが、主に以下のような方法があります。
- 薬物療法(胃酸抑制薬・抗菌薬・整腸剤・下剤 など)
- 食事指導(脂肪の摂取制限・繊維の摂取増加など)
- 生活習慣改善(禁煙・禁酒・ストレス管理)
- ピロリ菌除菌治療
- ポリープ切除や内視鏡治療
必要に応じて、他科(外科・内視鏡専門医・がんセンターなど)との連携も行われます。
5. 受診のタイミングと注意点
■ こんな症状があるときは早めの受診を!
- 症状が2週間以上続く
- 食事が取れない・体重が急激に減っている
- 便に血が混じる・真っ黒な便が出る
- 強い腹痛や嘔吐がある
- 家族に胃がん・大腸がんの既往歴がある
■ 受診時の持ち物・ポイント
- 症状の経過をメモ(いつから・どんな症状)
- 服用中の薬・サプリがあれば持参
- 健診結果や過去の検査データがあれば提出
まとめ:お腹の不調は“我慢しない”が鉄則
「いつものことだから」「市販薬で済ませよう」――
そうした判断が、大きな病気の見逃しにつながることもあります。
消化器内科では、自覚症状からは見えない病気を早期に発見・治療することが可能です。
胃腸の不調を感じたら、まずはかかりつけ医や専門の内科に相談してみましょう。
あなたの身体の“中”で起きている異変、見逃さないことが何より大切です。